転職することで対人恐怖症を克服した営業マンの話
私の知り合いの外国人で、こんなことを言った人がいます。「日本人はどうして壁を前にすると越えようとするんだい?曲がる道があるなら曲がればいいし、引き返したっていいのに。」これは言いえて妙だと驚かされたものです。確かに私達日本人には、壁を前にすると超えようとする国民性があります。曲ったり引き返すことを恥と捉えることすらあるかもしれません。壁を越えれば得られるものは確かにあるのでしょう。ただ、あたって砕けろという言葉もありますが、壁を越えようとするあまりに砕け散ってしまうくらいならば、曲がったり引き返す勇気も時には英断だと私は思います。この話は、実は対人恐怖症の人にとっても、考えてみてほしい話です。
転職をすることで対人恐怖症を克服した営業マンの男性がいます。彼は几帳面で細かいことにもよく気が付く性格で、成績もよい営業マンでした。しかし、成績とは別に彼はかなりのストレスを抱えていました。大事な取引先への営業があると、失敗しないだろうかと不安で眠れなくなるなど、もかなり疲労が溜まっていたのです。彼には完璧に物事をこなしたいという完璧主義の側面もあったのだと思います。ある日、絶対にまとめたかった商談の場面で自分の表情が強張ったように感じ、それが相手に不快感を与えたような気がしたのでした。結局その商談はまとまらず、彼はそれ以来、過剰に自分の表情が人に不快感を与えていないかと不安を覚えるようになりました。そして、ついには人と目を合わすことにも抵抗を感じるようになっていました。普通にしようと思えば思うほど不安が生じ、緊張から表情はさらにこわばる悪循環の中にいたのです。
彼の場合には発症のきっかけも見つけやすく、比較的早期に専門医を受診していたため、投薬と心の治療を続けて数ヶ月で普通の日常生活が送れるようになりました。しかし、発生のきっかけとなったのと同じ場面に遭遇するとまた不安が生じてしまうため、仕事には支障が出ている状態でした。主治医のすすめもあり、彼は転職する道を選びました。日常生活に支障がないところまで回復していた彼は、ただでさえ緊張する場面で人と接する機会の多い営業職を離れたことで、環境も変わり普通の生活に戻ることができたのです。
対人恐怖症にはこういう克服法もあります。環境を変えることは逃げでも恥でもありません。大切なのは、あなたが不安のない生活にもどれることだということです。
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